2014年12月 4日
[71]理事 小宮求茜さん
仮名と墨象の組み合わせ
「仮名ばかりやっているとワァーとした大きなものを書きたくなります」
一枚書き上げるのに2時間はかかる仮名作品を仕上げると、今度は大胆に墨を紙にぶつけたくなるという。本格的な細字仮名と前衛の墨象を組み合わせた特異な作風が持ち味だ。
仮名作家の石川蒼丘氏に師事。過去に出品した公募展では、産経国際書展の会長賞をはじめ、文部大臣奨励賞(当時)や新聞社賞など、多く受賞している。
「まずスケッチブックで平面構成を考える」と、書作のプロセスに、女子美術大学芸術学部出身らしさをのぞかせ、舞台衣装の制作やグラフィックデザイン、そしてエッセイストとしての顔も併せ持つ。
さらに、「能」には200余の演目の全てを観劇し尽くすほど精通し、俳句では同人仲間と句集を出版したことも。能・歌舞伎からロックまで、毎週のように劇場に通い詰めた時期もあるという。実に興味の範囲が広い。
「スピーディーなものとじっくりとやっていくもの、両方が好きです」
それら全てのエキスを融合し、感性の赴くままの作品制作がこれからも続く。(松本篤幸)