2011年5月13日
國井誠海書奨励基金賞受賞 ステジョ・ヘルベルトさん(34)
深夜に書と向き合い無の境地へ
「立派な賞をいただいて責任は重大。日本人ではないからこそ表現できるものもあると思うので、これからも自分の書を追究していきたい」
現代書の次代を担う書家に贈られる「國井誠海書奨励基金賞」を受賞した。
インドネシアのスラバヤ出身。留学のため19歳で来日して間もない頃、学生寮の事務員に連れられて、現在、産経国際書会副理事長を務める渡邉麗氏のアトリエに遊びに行ったのが書と出合ったきっかけだ。
「外国人の自分にできるのか不安でしたが、先生が書きたいものをどんどん書けばいいと言ってくれたので」、東京工芸大を卒業し、東京の映像・ゲームソフト会社でデザイナーとして働く今に至るまで書を続けてこられたと語る。自己満足に陥りやすい他のアートとは異なり、基礎を徹底的に学んで土台を作る点も自身の性格に合っていた。
音楽好きで、年に数回、ライブハウスでジャズを歌う。「何でも五官で感じられるものが好きなんです」。深夜に墨のにおいをかぎながら一人で紙と向き合うとき、「これが『無』になるということか」という境地を味わえるようになったと笑う。(原誠)
5月13日付け産経新聞より
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