2012年2月17日
[40]産経国際書会専管理事 岡本杏華(きょうか)さん(68)
紺紙金泥の超大作で注目
4メートル四方という巨大な紺色の紙に金泥(こんでい)で書かれた漢字がびっしり。そんな超大作を今月6日まで東京・六本木で開かれていた「産経国際書会代表展」に出品し、ひときわ注目された。
1000の異なった文字からなる漢詩を楷、行、草の3書体で書く「三体千字文(さんたいせんじもん)」は明治の三筆の一人である日下部鳴鶴(くさかべ・めいかく)などの書が有名だが、これだけの大作に仕上げたのは珍しい。「柳田泰雲(昭和の著名書家)の紺紙金泥の世界にひかれていたのと鳴鶴を勉強していたことから、こんな形にすれば自分らしさが出るのかなと考えたのです」と動機を語る。
年末年始の7日間、毎朝3時に起きて作品づくりに没頭。「集中力を保つのが大変でしたが、行書に入った頃からは、金泥の滑らかな書きごこちを楽しみながら書けました」。
本来は現代書が得意。平成13年にパリの凱旋門で路上パフォーマンスを敢行したところ大好評を博した。以来、毎年、欧州の路上で書いた作品を同代表展に出品してきた。「今回の大作を到達点とするのではなく、10年後にはもっと立派な作品を出せるように努力したい」と新たな目標に立ち向かう。(原誠)