2013年1月18日
[51]産経国際書展審査会員・佐藤マス子さん(65)
思いを書で伝えたい
「如是」。あるがままの姿に真実があるとする仏教の言葉だ。東日本大震災で心の面で立ち直れない人がいる。平穏な普通の日のすばらしさ、その日、その日を生きていくことの大切さ。この2字の組み合わせに自身の「思い」を託した。
佐藤の書は字句選びから始まる。書きたい字句を決めるのに時間をかける。そしてデッサンをつくる。「如是」をどういうデッサンにするか。「如是」の字義に合ったデッサンができてから筆を下ろす。
何枚か書いた中から書を選び、誠心社代表の渡邉麗氏と仲間で研究を重ねていく。そして不可欠な点検、加評、指導をへて、作品に仕上げる。
佐藤の脳裏に潜むものは、現代書の芸術的表現力。つねに考え、考え抜くことに心を燃やす。
「本物を書くには、基本となる古典の積み重ねが必要。その基礎の上に初めて創作があるから」だ。課題はつねに変わらない。いかに自分の思いを伝えられるか。そのためにきょうも古典を学書する。(柏崎幸三)
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