2013年6月18日
[56]産経国際書会顧問・宮崎春華さん(86)
一生青春、一生現役
師から教わるものとは何だろうか? 弟子に手本を書いた夫、春峰(しゅんぽう)は宮崎には一枚も書かなかった。宮崎は、春峰の書を書くときの手さばき、筆の動き、そして呼吸から書を学んだ。
「師の動きから書を学ぶ。それができないときは師の作品から読み取っていきました」
春峰の死後、平成15年暮れに「春風書道会」の跡を継ぐ。宮崎はまず弟子が楽しく書を書くことを会の第一目標に置く。次に作品発表の大切さを弟子に強調した。
「茶道や華道もそうですが、書も展覧会に発表していくことで初めて上達していきます」
19年11月、80代の弟子たちと長寿を祝う書展を松山市で開いた。その時の冊子に弟子、畑中華舟(かしゅう)が言葉を寄せた。「長い間、書き続けた喜びは一生涯の宝物だと感謝しています」。体が震えるほどうれしかった。
重荷だった会の運営だったが、長年一緒に書を磨いてきた弟子たちが書を楽しく続けてきてくれたことに大満足したのだった。
「書は、書く人の人生の積み重ね。輝いて老いを生きたい。一生青春、一生現役をモットーに書いていきたい」(柏崎幸三)
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