2014年3月21日

[63]常務理事・暁云書道会会長 望月暁云さん(78)

第28回産経国際書会代表展出品作品「買至詩『春思』」
長峰自在に操る「顔法」
望月暁云さん
「信長や秀吉の手は何十回もやりました」

NHKの職員だった頃から続いているドラマでの「書道指導」は、33年目になった。この分野では第一人者といわれて久しい。

 書道指導の仕事は、役者に筆の持ち方などを教えることが主であるが、手紙などを書く手元だけの代役をする「手元吹き替え」も多い。女優の手の代役を務めたことも3回あったという。

 書道を本格的に始めたのは、NHKの「書道部」3代目の講師だった鈴木天城氏との出会い。とくに「長峰(ちょうほう)(穂先の長い筆)」を自在に操る姿に感動した。鈴木氏が講師を辞めると、彼の書道教室に躊躇(ちゅうちょ)なく通うようになった。

 最初の頃は長峰でなく長箒(ながほうき)とさげすまれ、悔しい思いをしたことを忘れない。今では、長峰による独特の粘り強い筆の線が中国・唐代の能書家である顔真卿(がんしんけい)の作風である「顔法」と称賛されることもあると胸を張る。

 直近では31日から始まるNHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」の書道指導を引き受けた。そろそろ引退したいと弱気な一面を見せながらも「この連ドラは156回放映の大仕事」と意欲をみなぎらせる。(松本篤幸)