2011年2月25日

産経国際書会常任顧問・宮澤静峰(せいほう)さん(67)

間の取り方が大事

「最初から、感動させられる字を書ける人は絶対にいません。人よりも数多く書くとか、心を込めるとかの積み重ねです」

 努力の人である。

 豪雪地で知られる新潟県松代町(まつだいまち)(現十日町市)の中学校を卒業し、就職列車で上京するとき、バッグの中に筆と墨とすずりを忍ばせていた。才能を見いだし、熱心に指導してくれた恩師がいたおかげで、書道だけは続けたいと考えていたからだ。

 酒屋の御用聞きを振り出しに、鋳物工場や建設現場の職人、さらには釣り堀経営と、夜遅くまで働きながら、北越書道会の月刊競書誌「蘭亭」で鍛錬。26歳の若さで、埼玉県鳩ケ谷市に書道教室「蘭生(らんせい)書道会」を開いた。

 苦労を重ねたせいか、世のため人のためにとの思いが強い。市の交通指導員を務めていた当時、悲惨な交通事故を目の当たりにしたのを機に始めた社中展「交通安全祈願書道展」は昨秋で42回を数えた。

 生徒には「書は間(余白)のとり方が大事」と教える。埼玉県警察学校講師など幅広く活動しつつ、「自分なりの世界で、字を書くことを楽しんでいきたい」とも語る。(原誠)