2013年10月25日

[59]理事・泉の会代表 梶谷綾泉(りょうせん)さん(68)

命
極意は「落・起・走」
梶谷綾泉(りょうせん)さん
 篆書(てんしょ)で書いた第28回産経国際書展の出品作「命」が陸上自衛隊高射学校(千葉市)の校長室に飾られている。東日本大震災では、この学校からも多くの自衛隊員が被災地復興支援に出動した。夫が元自衛隊員であることもあり、東北出身者(青森県)の梶谷が万感の思いを込めた作品だ。

 印鑑などに使われる篆書は、故和田鷺風(ろふう)から学び、その上の師である故小川南流(なんりゅう)の住む名古屋まで添削指導を仰いだ。梶谷は書の極意は「落(らく)・起(き)・走(そう)」だという。まず筆に墨を付けて紙に落す。次に筆を起こし、線を走らせる-この書作のプロセスをいう。筆を起こした瞬間、筆先に空気が入り、たっぷりと墨が付いた筆でも「かすれ」を出すことができる。線の流れから梶谷は、筆者の呼吸を感じることができるという。

 5つの教室で生徒約60人を教える多忙な日々を送るなか、「大字かな」にも挑戦したいと意気盛んである。(松本篤幸)