産経国際書会

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征服され奴隷にされた異部族…「民」

 「民」(みん)は、訓読くんよみでは「たみ」と読み、国民こくみん一般いっぱんひとのことをいいます。じつはこの文字もじは、おそろしいちをっているのです。

 ひだり金文きんぶんをみるとは、)とはり)からできているのがわかります。これは、一方いっぽうの目に針をして機能きのううしなわせた状態じょうたいあらわしていて、見るだけでも激痛げきつうかんじじます。「民」とは、古代こだい征服せいふくされた異部族いぶぞくが、そのしるしとして目の機能をうばわれ、かみささげる犠牲ぎせいにされたり、奴隷どれいにされた人々を言葉ことばでした。目の機能を奪ったのは、区別くべつをつけるためと、逃亡とうぼうふせぐためとも言われています。また、楽士がくしなど神につかえるもの盲目もうもくにされる風習ふうしゅうがありました。家来けらいを指す「しん」も、神へげんずる意味いみを持っています。

 その、奴隷の意味が敷衍ふえんされて、皇帝こうてい支配下しはいかはいった人々のことを指すようになりました。

 いまは「民主主義みんしゅしゅぎ」「主権在民しゅけんざいみ 」のなかです。かつて奴隷であった「民」がくにの「あるじ」になったのです。その意味と責任せきにんをよくかんがえて、大人おとなになる勉強べんきょうをしましょうね。

(産経国際書会副理事長、髙橋照弘)