煤(すす)を集めて墨を作る…「黒」
2019.9.8

書道は、紙の白と墨の黒を使った「白と黒の芸術」と言われます。今回は、「黒」の成り立ちを見ていきます。
「黒」のもとの字は、「柬」(かん)と「火」(れっか点)を組み合わせた形とされています。「柬」は「橐」(東)の中にものが入っている、ことを表し、これに下から火を加えて、ふくろの中のものを焦がして黒くすることを表し、「くろ」「くろい」の意味となったとされています。上の篆書をみると、袋を火にくべている様子がよくわかりますね。
また「黒」は、煤(すす)を集めて墨(すみ)を作る様子を描いた漢字とも言われています。墨は、松、菜種油(なたねあぶら)などを燃やして煤を取り、膠(にかわ)と混ぜて作ります。この墨の色が「黒」というわけです。私は墨を擦ってよく書道をしますので、この成り立ちはしっくりきます。
(産経国際書会評議員、鈴木暁昇)
