産経国際書会

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実をつける前の美しい花の姿「秀」

 かの有名なろん語は、孔子こうしと弟子たちの言行録げんこうろくを集めたものですが、かん五子罕(しかん)に、「なえにしてひいでざる(苗になっても花がかない)者あり、秀でて実らざる(花が咲いても実らない)者あり」とあらわしています。今回は、「しゅう」について考えます。

 秀は、稲穂いなほれた形「禾(か)」と、花が咲いてしべとしべが垂れた形「」をした象形しょうけい文字です。実をつける前の美しい花の姿すがたが「秀」となりました。

 秀才、秀色しゅうしょく絶景ぜっけい)、秀れい(ずば抜けた美しさ)、秀ろう(才のうすぐれ人がらよい)、秀いつとくにすぐれる)―などと使われます。

 実る前の花が美しい「秀」から、穂がよく実った「穆(ぼく)」、実が落ちてからになった「禿(とく)」は、禾(いね)の生長の三だん階を表す文字です。

 書人(書家)の筆には、穂先のすり切れた禿筆がたくさんありますよね?!

(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)