産経国際書会

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神の裁きに勝てば「慶」

 今年は何枚の年状がとどきましたか? 正月をいわうおめでたい言葉「けい賀」と書かれたものもあったのではないでしょうか。

 「慶」は学校で学ぶ教育漢字ではなく、常用漢字に含まれますが、部首は「心」です。

 心のよろこびや祝う気持ちを表す「慶賀」、めでたいことを表す「慶事」、自分にとっても同じようにめでたく感じることを「ご同慶のいたり」などと言ったりします。

 慶を説明するには、先ず「ぜん」を考えます。その本字は「譱」、前回も登場した「羊」が含まれています。羊に似た神聖なけもの「解廌(かいち、かいたい)」を、羊の左右にある原告げんこく告を表す「言」がかみし出し、神のさばきを受けるのです。この神判しんぱん勝訴しょうそすることを「慶」、はい訴が「ほう」となりました。

 勝訴したがわは、解廌のむねに「心」の字形の文身ぶんしん(入れ墨)をほどこし、神の祝福しゅくふくを受けたしるしとしました。

 慶は廌(たい)に心を加えた会意文字で、心からのよろこびを表します。まさに新年にふさわしい文字なのです。令和れいわ3年、明るく幸せな年になることを祈りたいものです。

(産経国際書会常務理事 眞田朱燕)