産経国際書会

「産経国際書会」公式ホームページです。

去年に勝る豊作ねがう「勝」

 「勝ちました!」。オリンピックで日本選手がついにゆう勝、金メダル―。夏のオリンピック出場をかけた競技きょうぎが開かれていますね。そこで今回は「勝」を取り上げます。

 元の字は「」と作り、「」の元は「(よう)」という形。左がわの「月」はここでは空の月や、肉月ではなく「ふね」(ばん)を指し、中に物を入れ両手でささげて、人に送ることをしめしているんだ。金文を見るとよく分かるね。

 「」の下の「カ」は、前回の「勉」と同じ耒(すき)の形で、耒に盤中の物を添えて豊作をいのり、良い結果けっかるという意味。 

 「まさる」「かつ」「すぐれる」と使われ、元の字を「勝」とした。(けい勝、名勝、勝はい、勝算)や(勝気、男まさり、身勝手)などの用例もある。

 せん門的には貝(貨幣かへい)を贈ることを「 (ヨウ)」、よめ入りのおともの女を「(ヨウ)」、文書の正本せいほんに対する副本(写し)が「謄(トウ)」となるんだ。

 「世の中は優勝劣敗ゆうしょうれっぱいが常だけど、負けるが勝ちの時もある」。これ分かるかな。

(産経国際書会副理事長 勝田晃拓)