産経国際書会

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「残」が持つ本来の意味は…

 6月もなかば。今年もそろそろのこり半年、その前に東京オリンピック・パラリンピックという大きなイベントまで残り日数もわずかになってきました。そこで今回は「ざん」について考えてみます。

 残には、そこなう、むごい、のこる…などの意味があります。てん書体では、「」と書きます。

 意味の「」と、おんの「」を組み合わせた文字です。「」は死の意味を持ち、「 」の音は「ざん」に通じ、おのまさかりで切ることをいいます。

 中国の古い書物「論語ろんご」に「残に勝ち さつを去る」とあります。暴力ぼうりょく(残)を制して殺ばつなこと(死けい)をなくすことができる―としています。

 もともとは「残る」という意味はなかったのです。残るは、本来「」で、肉の食い残しのことで、この文字をりてきて「のこる」「あまる」の意味として使われるようになりました。残こくや残にんといった言葉を思い浮かべると、残の本来のイメージもつかめるのではないでしょうか。

  (産経国際書会副理事長 高橋照弘)