産経国際書会

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ゆたかで立派な「太」のルーツは…

 金、ももおに―そして浦島うらしまと来れば、それにつづくのは「太郎」。おとぎ話、アニメの主人公でおなじみだけど、その「太」について考えるね。「大」と似てるけど、実は「泰(たい)」を簡単かんたんにした字なんだ。金文を見ると、手足を広げた人を正面から見た形の「大」と、左右の手をならべた「しゅう」と「水」の組み合わせだ。

 「太」の下の点が泰の水の省略しょうりゃく形。水に落ちた人を両手ですくい上げる形で(やすらか)という意味なんだよ。

 古くは「太」「大」は区別されず、「大」と同じ(ゆたか、おおきい、はなはだ)の意味で太鼓たいこ、丸太の様に使われていた。

 太きょく(宇宙うちゅうの根げん)、太古(大昔)、太子(世ぎ)、太陽などには「太」を用いるよ。今はたっぷりゆとりある(ふとい)意味に分けられ、(肉太、太っぱら) などのように使う。ちなみに太郎は人以外にも付けて、立派りっぱな様子を表すこともある。「坂東太郎」は利根川の別名だよ。アッ! ピコ太郎をわすれてた!

(産経国際書会副理事長 勝田晃拓)