産経国際書会

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点は1つ? 2つ?「辶」「辶」

 「辶」の名称をご存じですか?

 「しんにょう」あるいは「しんにゅう」といいます。「道を行く」という意味があり、たくさんの文字に使われています。わかりやすく「道」という字を例にとって説明しましょう。

 「しんにょう」は、点が1つのものと2つのものがあります。漢和辞典の元になった康熙こうき字典が二点しんにょうを採用したため、日本もそれにならって「辶」を使用しました。その後、当用とうよう漢字の制定により、一部の文字だけが一点しんにょうになってしまい、2つの書き方が混在することになってしまいましたが、どちらの字も同じ意味で使われます。

 「しんにょう」は漢字では「之繞」と書きます。楷書の「」は「辶」の形に似ていたため、その音が充てられたと思われます。「にょう」は「辶」のように漢字の左から下につく部分の総称です。「之繞」はのちになまって「しんにゅう」となりました。

(産経国際書会副理事長 町山一祥)