産経国際書会

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落成時の怖い儀式「就」

 早いもので、今年も師走が近づいてきました。年初に立てた目標は「成就」しましたか? 今回は「就」を見ていきます。

 「就」は「京」+「ゆう」に分解できます。「京」はアーチ状の城門の象形。上に遠くを見渡せるやぐら(望楼)を設けた凱旋門がいせんもんです。また、「尤」は、倒れている犬など負のオーラを持った獣を意味します。

 双方を合わせ、「就」は建物の落成時に獣の血を注いで清める儀式を指すようになり、「成就」「完成」「実現」の意味が生まれたとされます。やや怖い感じがしますね。

 ちなみに「就」には、大きな丘の上に造られた都に、人々を寄せ集めた様子を表現したとする説もあります。「京」は「大きい丘」、「尤」は「手」を表すためです。ここから転じて「寄せ集めてある場所や、あるポストに就ける」、すなわち「就任」の意味が出てきたようです。

(産経国際書会専管理事 鈴木曉昇)