産経国際書会

「産経国際書会」公式ホームページです。

壺の中でよく熟れた水「酒」

 昨年12月に「伝統的酒造り」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されることが決まり、世間をにぎわせています。そこで今回は「酒」という字についてお話ししましょう。

 最も古い文字である甲骨文こうこつぶんの「酒」という字を見ると、2つの部分から構成されています。

 左側の部分は液体のことで、「水」を意味します。右側の「しゅう」は壺のような形をした容器を表しています。この「酉」という字の音は、「よく熟れた」という意味を持つ「しゅく」からきています。よって酒壺の中でよく熟れて発酵した液体、すなわち酒を意味するようになりました。

 漢和辞典で「酒」という字を調べると、「さんずい」の部ではなく、「酉」のところに分類されています。そこには「酉」を使い、「醸」「酔」などお酒にまつわるたくさんの漢字が載っています。

(産経国際書会副理事長 町山一祥)