産経国際書会

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「心」と字源が違う「必」

 「必」(音・ヒツ、訓・かなら●●●ず)という文字を書くとき、最初に「心」(音・シン、訓・こころ)を書いて、斜線の「ノ」を補足する人はいませんか? 「必」と「心」は字源が全く違います。

 まず「心」の字は人間の心臓の形。心臓は生命の源であることから、物事を考える場所すなわち「こころ」と解されたわけです。

 一方、「必」は武具の長いの部分=「ヨク」(部首・しきがまえ)の象形。ちなみに「弋」に両刃の剣を装着したのが「ほこ」の字です。

 諸説ありますが、「必」の4、5画目は柄に紐を巻いた様子。柄の強度を確かなものにする行為のため、「必」は時を経て専ら「必ず」の語義になりました。一方、柄の意味には「ヒツ」の字が作られたそうです。

(産経国際書会常務理事 眞田朱燕)

書・眞田朱燕