産経国際書会

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たいまつから飛び散った火の粉「蛍」

 ホタルが里山などで姿を見せるようになりました。無数のホタルがお尻から夜空に放つ青白い光は幻想的です。今回はこの季節の風物詩である「ほたる」の字の成り立ちを見ていきましょう。

 「蛍」の旧字である「螢」の構成を知ると、理解が進むはずです。「螢」の字の上部に2つ並んだ「火」の字は、組み上げたたいまつ。その下には、「下へかぶせる」の意味を持つ部首「わかんむり」があります。さらに下には「虫」の字が配置されています。

 つまり「螢」は、火の粉がたいまつから飛び散り、周囲を照らす様子を、夜空を飛び交うホタルに例えた字のようです。

 ちなみに、貧しさゆえに薄明かりで机に向かい、苦学して受験などで結果を出すことを、昔の人は蛍雪の功といいました。

(産経国際書会副理事長 山本晴城)

書・山本晴城