産経国際書会

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仮面から目だけが見えている「面」

 「おもい」は顔に出るといいますが、この「おも」は「おも」で、人の顔のこと。甲骨文では目だけ現れている仮面の形からできた字です。

 神事的な儀式の際にさまざまな仮面が使われたことは、「戯」「劇」の字に儀式に臨んだ者がかぶった「虎の皮」があしらわれていることからもわかります。のちに仮面が顔面を指すようになり、海面・地面のように「おもて」の意味に、また、向き・方向の意味で正面・方面と使います。訓は「おもて」「つら」と読み、矢面・面長おもなが・字面と使われます。

 ちなみに「面」の対義語は「うち」。本心を曲げて仮面をかぶりながら生きることは、難しいですね。

(産経国際書会副理事長 勝田晃拓)

書・勝田晃拓