産経国際書会

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穀物と肉を供え、災いを他に移す…「移」

 世界せかいのどこかでは、争あらそいごとで穏おだやかに生活せいかつできない人々ひとびとが移民いみんとなり、他国たこくへ移うつらざるを得えないという大問題だいもんだいが生しょうじています。上うえの篆書てんしょを見みてください。

 「移」は、禾か()=稲いねなどの穀物こくもつが実みのったかたち=と、多た()=肉にくが重かさなっていて、たくさんの肉を表あらわすかたち=からできた文字もじです。

 古代中国こだいちゅうごくでは、実った穀物とたくさんの肉を神様かみさまに供そなえ、災わざわいが他たへ移ってくれることを願ねがいました。

 そこから「移す」という意味いみになり、人や物ものの移動いどう、移築いちく、移住いじゅうなどの言葉ことばができ、文化ぶんかの移入いにゅう、感情かんじょう移入など、考かんがえ方かたや感じ方などを取とり込こむ表現ひょうげんもできました。

 会社かいしゃなどで働はたらく場所ばしょが変かわったり、地位ちいが上あがったりするときは「異動いどう」を使つかいます。「ここからあちらへ移す」という「移動」とは、同音どうおん異義語いぎご(音が同おなじで意味が違ちがう)となります。

(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)