天高く馬ゆる、食欲しょくよくもりもりの秋あきだよ。でも食たべ過すぎると肉にくが付ついて太ふとっちゃう…。そう、「肥える」とも言いうね。そこで今回こんかいは、「肥ひ」を取とり上あげるよ。
上うえの金文きんぶんを見みてみよう。左ひだり側がわの「月つき」は、先週せんしゅう出でてきた「空そらに浮うかぶ月つき」ではなく、「にくづき」と言って人ひとの体からだの一部いちぶを指さすんだ。右みぎ側の「巴は」は、ひざまづくと太ももの辺あたりが太くなるように見える形かたちから、「ふくらむ」の意味いみがある。だから「肥」は、月と人の姿すがたで「太る」「太らせる」の意味に使つかわれるんだ。
さらに「肥える」には、経験けいけんや努力どりょくで知恵ちえや力ちからが付く意味もあり、「口くちや舌したが肥える」とか、「耳みみや目めを肥やす」などと使われるんだ。
もちろん、ラクをして「私腹しふくを肥やす」のは絶対ぜったいにいけません! これからも字じをたくさん覚おぼえて、「書しょく良よくの秋」になれ!
(産経国際書会副理事長、勝田晃拓)