産経国際書会

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地霊 呼び起こす「興」

 余興よきょうでかくしげいをやるんだけど、今から興奮こうふんぎみ…。今日、取り上げる手のんだ字「興」は、なんと16かくもある。金文きんぶんでは「同」と「臼(きょく)」と「 (きょう)」の組み合わせで、中央の「同」は「凡(はん)」と「口(こう)」からできているつつの形の酒杯しゅくはいだよ。

 それを上の両手()で持ち、さらに下の両手()がささえているよ。古代中国のしゅう時代(紀元前きげんぜん1046年ごろ~同256年)には各地かくちの王が集まり、(同)筒形の酒を使った式(会同かいどう)をよくやっていたよ。同の中には神へのいのりを意味する(サイ)があるから、「興」は酒が入った同を人々が協力きょうりょくして持ち、大地に酒をり注ぎ、地霊ちれいび起こす儀礼を指すんだ。

 そこからすべてのものが(おこる、はじまる、おこなう)や、(さかんになる、おもむき)の意味になり、興味(面白い気持ち)、再興さいこう(ふたたびおこす)、興趣きょうしゅ(味わいの深い面白み)などと使うよ。

 そういえば、しょう興酒もおいしいよね。

興冷きょうざめ!

(産経国際書会副理事長、勝田晃拓)