産経国際書会

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手を広げがっちりつかむ…「採」

 小学校5年生で習う漢字の中に「さい」という字があります。

 「扌」と「采」からなっていますが、「采(さい)」という字が元になって草書が完成かんせいしたころに「扌」を加えて作られた字です。ですから、「採」には篆書てんしょがありません。

 元となった「采」をくわしくみてみましょう。「つめ」と「木」からなっています。「爪」は、クレーンゲームのように上から手を広げて、物をつかもうとする形です。甲骨こうこつ文字では上から手を広げて、草や木の実などをみ取っているのがわかります。その後「扌」が加えられ、この字はさらに進化し、たんに「取る」とか「取り上げる」という意味いみで使われ、「租税そぜいを採る」、「採決する」、「採血する」などとはば広い使い方がされるようになりました。

(産経国際書会常務理事、町山一祥)