産経国際書会

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昇るだけではだめ?「堂」

 「堂(どう)」は、土と尚(しょう)からできている文字です。土をった質素しっそな家、そこから転じて立派りっぱ建物たてもののことを「堂」と言います。のちには、「殿(でん)」ともばれました。

 尚は八(分かれる)と、向(きょう)という換気かんきや明り取りの高いところに作られるまどの意味があります。

 堂は公的な場所で役人の仕事場、またはお客様をもてなす場所となっていきました。私的な場所として「室」があります。

 論語ろんごにある、「堂ニのぼしつニ入ラズ」は、建物には登ったがそのおくにある部屋にはまだ入っていない。つまり、学問や技芸ぎげいが進んでも、最高の境地きょうちに入っていないことを説明せつめいしています。

 物事をきわめた人が入るところが「殿堂」というのもわかりますね。

(産経国際書会副理事長 高橋照弘)