産経国際書会

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羊は安産の象徴「達」

 郵便ゆうびん宅配たくはい便など、配たつの人が大いそがしになる歳末さいまつ。そこで、「達」について考えてみました。

 達は、「土(大)」「羊」「辶」から成ります。羊の体を正面から見た姿すがたを表す「羊」と、羊の腰を表す「大」を組み合わせて「美」ができましたが、「羍(タツ)」は、母羊の後ろを見て腰(大)から子羊がすべり出るように誕生たんじょうする様子を表しています。さらに、「辶」がなめらかにいきおいよく生まれることを強調しているのです。

 詩経しきょう(中国最古の詩編)には、「ず生まるること達のごとし」とあり、羊が子を生むように安産である様子をしるし、そこから「とおる」「つらぬく」といった意味になり、「達かん」(見通す)、「達意」(意図を十分にとどかせる)、物事や論理ろんりに通じた人を「達者」や「達人」と言ったりするようになりました。

 羊にはれを成す習性がありますが、「君」(天子、王など)に数多く集まることを「群」というのもわかりますね。

(産経国際書会常務理事 眞田朱燕)