産経国際書会

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そろそろ厚い着物を脱ぐ季節「衣」

 次第しだいに春の足音が聞こえ、何まいも重ね着しているとあせばむ日もある季節きせつとなってきました。そろそろあついコートもいらない、と感じる人もいるでしょう。東京などでは3月も半ばになれば衣替ころもがえする人も出始めます。今回は、小学4年で学ぶ漢字「衣」について説明します。

 部首は「衣」、音読みで「イ」、訓読みでは「ころも」、常用漢字外だと、「きぬ」「き(る)」になります。意味は、上着や着物、衣服、僧侶そうりょが着る上着など。
 「衣裳いしょう」は、衣が上半身に着るもの、裳は下半身をおおうもの、という意味があります。

 漢字の成り立ちを説明すると、イラストのように服の襟(えり)を左右に交差させた様子を表した象形しょうけい文字から生まれたものです。

 古代中国では、「衣」に人の霊力れいりょくが宿っていると考えられ、それを受けぐ意味の文字に「衣」が多くふくまれています。

 例えば、僧侶が弟子に伝える袈裟けさはちを指す「衣鉢いはつ」。転じて、宗教しゅうきょう芸術げいじゅつなどでから弟子に奥義おうぎを伝えることを、「衣鉢を継ぐ」と言います。

(産経国際書会常務理事 山本晴城)