産経国際書会

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神ははしごを使って地上に?「降」

 3月になりました。世間はなにかとせわしないですが、冬も遠のき、日ごとに空気も温かくなっているのを感じます。北国でも降雪こうせつが少なくなっているでしょう。今回は降雪の「降」についてみていきましょう。

 「降」は、「阝(こざとへん)」+「夅(こう)」になります。「阝」は、天上の神が、地上との間をもぼり降りするときに使う「はしご」の形を表しています。一方、「夅」は、「夂(ふゆがしら)」の下に「ヰ」を置いた字形に分かいされます。「夂」は下向きの足。「ヰ」のほうも実は下向きの足を表します。よって「夂」と「ヰ」で下向きの左右の両足を指して、「夅(下向きに降りる)」という意味をふくみます。

 神仏が天上から地上に降ってくることを「降りん」というように、中国では神は天上におり、神のはしご(神梯=しんてい)を使って地上に降りてくると考えられていたため、「おりる」という意味になった、とされています。

 こうした背景を知ると、「降」が神的な漢字に思えてきませんか。

(産経国際書会理事 鈴木暁昇)