産経国際書会

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矢が当たって受けた傷「疾」

 世界中が新がたコロナウィルスに苦しめられて1年以上がたちました。病への恐怖きょうふが消えない日々がずっと続いていますね。今回は、病気を意味する「疾(しつ)」を取り上げます。

 「疒」と「矢」から作られている文字ですが、音読みでは「シツ」、訓読みでは「やまい」となります。「疾苦」は悩み苦しむこと、「疾風」は速く吹く風。「疾言」はあわただしく言うこと、早口ですね。「疾病しっぺい」は病気のことですね。

 「疾」の語源ごげんをたどってみましょう。金文は、人間の大人が矢をられた形を表しています。見るからにいたそうに見えませんか。矢に当たるとはげしくいたみに苦しみ、「牀(しょう)= しん台」に横たわります。

 後に「大」を取りのぞき、「 (だく)」を用いて「疾」としました。矢のきずから病気を表す文字となっていきました。

(産経国際書会副理事長 髙橋照弘)