産経国際書会

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病人の体中を痛みがかけめぐる「痛」

 カーンと響くホームランの音は痛快です。心の中のもやもやが、スーッと体内を駆け抜けてくれるように思われます。そこで今回は「痛」について考えてみました。

 「」(やまいだれ)「」(だく)は、病人がベッドで横たわるかたちで、「」(よう)「」は取っ手のついた桶のかたちです。おけは筒のように空洞くうどうで通りやすいため、通りぬける、通達するなどの意味にもなりました。

 桶のかたちの「」は痛の場合、人の体をあらわしていて、痛は病気になった人の体中を痛みがかけめぐる様子をあらわした文字です。

 「頭痛」「腹痛」「腰痛」などは身体の痛み、「苦痛」「心痛」「悲痛」などは心の痛み、「痛快」は心のよろこび、「痛感」は苦と快の両方に通じる言葉です。

(産経国際書会常務理事 眞田朱燕)