産経国際書会

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戦争が生んだ文字「歴」

 「歴史は繰り返される」。ウクライナへの軍事侵攻が始まった時、この言葉が頭をよぎりました。そこで今回は「歴」についてお話します。

 「歴」の旧字体は「歷」で、「れき」と「」の会意けん形声文字です。「厤」は「かん」(崖のこと)の下に二本の「」を右向き「」・左向き「」に立て、これを軍門とし、そこを軍の本陣(駐屯所)としました。「止」は足跡、すなわち軍の行動を表します。そこから「歷」とは、戦争で経験した事や功績を示す意味となり、過去の軍の変遷の記録を「歴史」というようになりました。

 また、出陣の時に行なう神への誓いや功績などの報告を「えつ(器)」に入れて行い、それを「れき」といいました。「曆」が「こよみ」と言われるのは後年になってからのことです。

 「歴」とはまさに、戦争が生んだ文字でした。

(産経国際書会常務理事 眞田朱燕)