産経国際書会

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「徒」は、従(したが)う仲間の意味

 朝、登校中の生徒たちに出会いました。そこで今回は「徒」について考えます。

 「徒」の元の字は「」といわれ、金文にさかのぼります。「(土)」(「やしろ」の元の字)は土地の神の在る所、「 (ぎょうにんべん)」(大きな交差点道路を表す「行」の左半分で小道を表す)はその道を行くこと、「」(足跡あしあと)は徒歩で行くこと、の3つで成り立っています。徒歩で行くことが誇張こちょうされていて、身分の高い人が車に乗り、その地域に属する民が「徒」で、仲間・氏子うじこ・組の一員として扱われました。軍においては、貴族出身の軍士に随行する者を「徒」(歩兵)としました。

 「徒」は、従う仲間の意味ですが、「何も持たない」の意味もあります。徒手としゅ(手ぶら)、徒労とろう(むだ骨)、徒食としょく(働かずに暮らす)などの表現としても使われるようになりました。

(産経国際書会常務理事 眞田朱燕)