産経国際書会

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「既」は、過去形の意味に使われる文字

 すでに現実になっている事を既成きせい事実じじつと言います。今回は「」について考えます。

 「既」の旧字は「旣()」で、「)」は前回の「そく」で説明したのと同じく、食物が盛り付けてある食器を表します。「即」と「既」の違いは、「せつ)」が今まさに食事をしようと食物に向かっている人の姿、「旡()」はおなかがいっぱいになった人の様子です。「既」は「即」を基につくられた文字と言われ、「即」から「既」へと時間の流れによる状態から、「すでに・おわる・つきる」など過去形の意味に使われる文字となりました。 「既往きおうとがめず」と、済んでしまった事や過去の事を責め、非難してはならないと、論語ろんごいています。

(産経国際書会常務理事 眞田朱燕)