産経国際書会

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難しい漢字を覚(おぼ)える「覚」

 小学4年生で習う「覚」の話をしましょう。この字は、古くは楷書かいしょでは「覺」と書かれていましたが、昭和21(1946)年、当用とうよう漢字かんじ表の告示こくじで現在の「覚」になりました。複雑ふくざつで覚えにくい漢字を易しく覚えやすいように改変したのが当用漢字で、それをもとに昭和56(1981)年、常用じょうよう漢字かんじへと引き継がれました。

 「覺」は20画あるのに対し、「覚」は12画と画数も減って時短じたんにもつながっています。では昔の人は、書く速さは必要なかったのでしょうか。いえいえ、そんなことはありません。昔の人は、それを行書ぎょうしょ草書そうしょといった書体でカバーしていました。また、部分を省略するということもしてきました。いわゆる異体いたいというものです。「覚」の異体字は「覐」になります。「覚」えられますか?

(産経国際書会副理事長 町山一祥)