産経国際書会

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都の周辺で外敵を窺う「候」

 まもなく春本番。今回は手紙で「陽春のこう」などと季節の挨拶に使う「候」を見ていきます。

 この字の構成は複雑なので、まず「丨」のない「侯」から。

 元字の「」は「かん」(屋根のひさしの形)と「矢」を合わせたもの。屋根の下に矢を放ち、家の邪気をはらう儀式を示します。

 次に屋根の上で邪気を祓う形を示す「こう」となり、儀式に付き従う「人」も加えて「侯」に。「侯」は都の周辺で外敵の様子をうかがい、都を守る者を意味し「諸侯」の言葉ができました。

 さらに「侯」が身分のある人(侯爵)に使われました。そこで「侯」に「丨」を加え、王のそばに控える・窺うの意味となりました。つまり季節の様子を窺う意味で「気候」「時候」と使うのです。

(産経国際書会副理事長 勝田晃拓)