産経国際書会

「産経国際書会」公式ホームページです。

産経の「経」が違うのはなぜ?

 今回は本紙「産経新聞」の「経」を取り上げてみます。

 意味を表す「糸」と、はた織り機に張る縦糸のことをいう「けい」の音を合わせた字です。産経新聞の題字の「經」と今の私たちが使っている字が違うのにお気づきでしょうか。

 「經」は「経」の旧字体です。これは漢和辞典の基となった中国、清時代の康熙こうき字典が、顔真卿がんしんけいという唐時代の書家の影響を強く受けて作られたからです。顔真卿の家系は代々、古代中国の篆書てんしょや文字学を研究する家柄でした。顔真卿もその影響を受け、楷書かいしょに篆書体に基づく文字をたくさん残しています。

 戦前の日本の漢和辞典もこれにならって作られましたが、当用漢字の制定により、現在の「経」の形になりました。

(産経国際書会副理事長 町山一祥)