産経国際書会

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古代文字でわかる違い「己」

 形の紛らわしい漢字で、「キ・コ」(おのれ)、「」(すでに)、「」(み)はその代表格です。古代文字で成り立ちを見てみましょう。

 「キ・コ」は「」が始まり。直角に曲がった定規や糸巻きの象形です。ちなみに「己」に「糸」が結びついた「紀」は、「糸を巻き取る」「おさめる」の意に。さらに「正しく記す」「秩序」「基準」といった意味合いも出て、「紀行」「紀律」「紀元」の言葉ができました。

 一方、「」の字源は農具のスキ(鋤)を表す「」です。後に字形が「已」「以」「ム」とそれぞれ別の字に分化する過程で、「」の語義は鋤とは関係のない「やむ・すでに・はなはだ」を意味するようになりました。また、「」はもともと蛇の形「」で、十二支の6番目「蛇」を指します。

 それぞれ筆画の微妙な接し方に注意しましょう。

(産経国際書会副理事長 勝田晃拓)