産経国際書会

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火をかざし穴の中を探す「探」

 新緑が「深」まる気持ちのよい季節を迎え、森を「探」索したくなりました。今回は「深」「探」に共通する「シン」を取りあげます。

 まず「罙」の構成は、古代文字の金文では「火」を持って「穴」の中を探す形。「てへん」を加えた「探」は、まさに穴の中で火をかざして物を探す様子を表しています。

 一方、「さんずい」の付いた「深」は、元は水中にあるものを探すこと。そこから水が深いことを示すようになり、後に程度など広範囲で「深い」の意味で使われています。

 ちなみに捜索の「捜」の字は、意味の由来が「深」「探」と似ています。

 旧字「搜」の甲骨文字を見ると、右側の「ソウ」は、屋根を示す「うかんむり」の下に「火」、さらに下は手の意の「又」で作られています。「扌」を付けた「捜(搜)」は、暗い建物の中で火を持つ様子から「探す」の意味が出てきました。

(産経国際書会副理事長 勝田晃拓)

書・勝田晃拓