第34回産経国際書展 ごあいさつ
産経国際書会は、昭和59年に、当時の書壇の在り方に疑問を持つ書家の先生方が中心となり設立されました。書芸術の国際交流を通じて世界各国との友好親善を深めあい、世界平和に寄与するとともに、書技、創作活動の一層の向上、発展に期することを目指し、現在も自由闊達な雰囲気の中、若手から役員まで互いに厳しく切磋琢磨しながら成長を続けています。
本会の基本理念は、Clean=清潔、Clear=明朗、Creative=創造、Character=品格の4Cであり、なかでもクリーンで公明正大な審査、創造力豊かな作品の多さにつきましては、大いに自信を持つところです。
今年も、高円宮賞、内閣総理大臣賞をはじめとする特別賞から、特選、秀作、入選に至るまで個性的で素晴らしい作品が並びました。また、本年は岡部まり、中山秀征、藤田三保子、松村薪燈(雄基)の著名人の方々に特別出品いただきました。ご高覧いただければ幸いです。
少子高齢化社会の到来は書会にもおしよせ、書道人口の高齢化が進んでいるのは皆様ご存じの通りです。産経国際書会では、長期的な視野のもと、今展から、本展と産経ジュニア書道コンクールを同じ東京都美術館で同時開催することにいたしました。ジュニア書道コンクールは2階第4室で展示しております。本展のお帰りにこちらもぜひご覧ください。
今年で28回目を迎える産経ジュニア書道コンクールは、担当する先生方のご努力の甲斐もあって年々出品数が増加し、今年は海外及び日本全国から約9300点が出品されています。ジュニアの高校半切部門の出品者で、本展のU23部門にチャレンジしようという意欲のある方には、出品料を優遇する施策を今年から行い、数多くの高校生が入選目指して本展U23部門に出品されました。U23は、部門全体の出品数も昨年より倍増しています。書会の未来を担う若い力の成果を感じていただければ幸いです。
来年は、いよいよ35回の記念展を迎えます。産経国際書会として世界のために、日本のために何ができるかを考え、若手、ベテラン、役員の力を結集して、最高の記念展とするべく邁進していきたい、と思います。
本展の開催にあたりご協力賜りました皆様に深く感謝申し上げます。また、出品者各位のご健勝と益々のご健筆をお祈りいたします。
平成29年7月
産経国際書会理事長
風岡 五城
第34回産経国際書展の開幕を迎えました。本年も公務ご多端の折にもかかわりませず、高円宮妃殿下にはご来臨の栄誉を賜り贈賞式、祝賀会を挙行できますこと、産経国際書会会員一同、衷心より敬意と感謝を申し上げる次第でございます。
出品者の皆様におかれましては公正かつ厳しい審査を突破して入賞、入選を果たされました。心からお祝いを申し上げます。またこのように盛大に開催できますこと、関係各位のご支援、ご協力の賜物と厚くお礼を申し上げます。
本展に合わせて今年も特別色紙展が併催されます。80歳以上の会員を対象としていつまでも書に親しんでほしいというお心から、高円宮妃殿下には例年お題を下賜いただいております。今回のお題は「勢・豊」です。この二文字はまさに産経国際書展のあるべき姿、あるいは進むべき方向をお示しいただいているような気がしてなりません。少子高齢化に伴う書道人口の減少、文化の多様化等によって今や出品数の減少は避けられない状況になっています。この様な時だからこそ手をとりあって勢いを増さねばならないのです。また各自がとりくむ作品の質も日々研鑽を重ねてより豊かな内容を蓄えていくことが大事なのです。来年は35回の記念展を迎えます。国際交流の企画も順調に進んでいます。今展の成果をもとにさらなる前進をしていければと念じています。書会の皆様、関係各位の絶大なるご支援、ご協力を切にお願い申し上げる次第です。
会期中はいくつかのイベントも開催されます。初日の受賞者によるギャラリートークをはじめ、講演会、揮毫会が予定されています。こちらの方も作品の鑑賞とあわせて多数の方々のご参加をいただければ幸いです。
東京展の後は9月に東北展(せんだいメディアテークギャラリー)、11月に中部展(愛知県立美術館)、瀬戸内展(広島県立美術館)、関西展(大阪市立美術館)と続きます。各地方展においても多くの方々にご鑑賞いただけることを願っています。