産経国際書会

「産経国際書会」公式ホームページです。

火と貴人の玉の色…「黄」

 あきなかばになると、東京都とうきょうと銀杏いちょう黄色きいろ並木道なみきみちを彩ってくれます。

 「黄」の甲骨文こうこつぶん左上ひだりうえ)をると、弓矢ゆみや仕掛しかけてはなかたちで、その火の色から、「き」、「きいろ」となりました。金文きんぶん)は、佩玉はいぎょく貴人きじんころもおびむす玉製ぎょくせい装身具そうしんぐ)の形からつくられ、玉の色から、「き」「きいろ」になった、というふたつのせつがあり、どちらもただしいといいます。

 佩玉の黄色から、身分みぶんたかいことをしめす色にもなりましたが、秋は黄葉こうよう枯葉かれはとなり、黄とはおとろいることを示す色でもありました。

 のち陰陽五行説いんようごぎょうせつとなえられ、もくごんすいの五行を、あおあかしろくろの色にえ、黄を中心ちゅうしんきました。黄は古代中国こだいちゅうごく伝説的皇帝でんせつてきこうてい黄帝こうていで五帝の中心、天子てんしくらいとし、ここから、黄門こうもん(天子の門)、黄屋こうおく(天子のくるまおおい、てんじて天子のこと)などの言葉ことばもできました。

(産経国際書会常務理事・眞田朱燕)