産経国際書会

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建物の位置や、方位を決める…「定」

 ビルなどの建造物けんぞうぶつ正面玄関しょうめんげんかんなどに、「定礎ていそ」とかれた文字もじと、竣工しゅんこう年月日ねんがっぴしるされたプレートがはめまれているのを、たことはありませんか?
 元来がんらい、「定礎」とは、建築着工けんちくちゃっこうさいし、まず土台どだいとなる「礎石そせき」をえることを言いました。

 「定」の金文きんぶんうえ)を見ると、祖先そせんれいまつるみたまやの屋根やねかたちをしたと、ただしいしいことを表すの字からっています。「定」とは、建物たてもの位置いちや、ほしによる方位ほういさだめること。定礎とは、定まった位置や方位に、土台となる礎石を据えることで、そこではじめて建築にとりかかったのでした。

 現在げんざいの、ビルの定礎プレートのおくにはおふだや、建築図面ずめん、定礎しきの日の新聞しんぶんや建築関係者かんけいしゃ名簿めいぼなどが入った定礎はこめられているときます。なんだか、タイムカプセルみたいですね。

(産経国際書会常務理事・眞田朱燕)