産経国際書会

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もとは小さな赤い果実のこと…「桜」

 はるおおくの草花くさばなき、あたたかくやさしい太陽たいようのもとで花を咲かせ、目を楽しませてくれます。

 先月せんげつ開花かいかから、みなさんをたのしませてくれたさくらは、いま東北とうほくごろ。今回こんかい文字もじはその「桜」です。

 「桜」は、ひだり篆書てんしょをみてわかるように、ふるくは「櫻」とき、意味いみあらわす「」と、おとを表す「えい」から出来できています。「嬰」には、ちいさい、という意味があり、まれてまもない子供こどもを「嬰児えいじ」とびます。

 じつは、「桜」は日本にほん中国ちゅうごくではちが植物しょくぶつします。中国では果樹かじつの「ユスラウメ」のことで、サクランボにあかい小さなをつけます。つまり、「桜」とは実からけられた名前なまえだったのです。

 それが日本ではいつの間にか、みなさんお馴染なじみのサクラの漢字かんじとして使つかわれるようになりました。

 もっともポピュラーなソメイヨシノは、江戸えど末期まっきから明治めいじ初期しょき品種改良ひんしゅかいりょうつくられた桜で、いまでは中国からも大勢おおぜい観光客かんこうきゃく花見はなみ目当めあてにおとずれています。

(産経国際書会副理事長、髙橋照弘)