産経国際書会

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人が近づくことのできるギリギリの神域…「限」

 来年らいねん東京とうきょうオリンピック・パラリンピックにけ、出場しゅつじょう目指めざすアスリートは日々ひび極限きょくげん練習れんしゅうかさねています。そこで今回こんかいは、「限」をげます。

 ひだり金文きんぶんてください。「限」は、神霊しんれいがのぼりおり(陟降ちょくこう)する梯子はしごかたち)が神聖しんせい場所ばしょにあって、邪悪じゃあくな霊が近寄ちかよらないようのろいをかけたつくもの)をけました。それを見て、おそれをなしてスゴスゴとうしろ向きに退しりぞいていくひとの形()から出来できた、まるで物語ものがたりのような文字もじです。「ここにはいってはいけません!」という意味いみで、限界げんかい限定げんてい制限せいげん限度げんどなどの言葉ことばができました。

 このように、へん(文字の左側ひだりがわ)にく「阝」(こざと)は、神様かみさまの梯子なので、神様にそなえ物をささげる意味の「さい」に「阝」(こざと)をつけた「さい」は、人が神に近づくことができるギリギリのところ、極限を意味します。一方いっぽうつくり(文字の右側みぎがわ)に置く「阝」(おおざと)は、形はおなじでも、もとのゆうで、集落しゅうらくのことです。字源じげんちがうとまったく意味がわってくるのです。

(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)