産経国際書会

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鼻の働きの良い犬から…「臭」

 常用漢字じょうようかんじとは、一般いっぱん社会生活しゃかいせいかつにおいて、「現代げんだい国語こくごあらわ場合ばあい漢字使用かんじしよう目安めやす」として内閣ないかくから告示こくじされた文字もじで、学校がっこうまなぶのはすべてこの常用漢字です。ただ、略字りゃくじおおく、文字のちからはなれてしまったものもすくなくありません。「しゅう」もそのひとつです。

 「臭」は旧字きゅうじでは「」と書き、うえ甲骨こうこつ文字をみてわかるように「)」と「いぬ)」をわせてできた文字です。「」は、ひとはないた象形しょうけい文字で、「わたしは」「自分じぶんは」とときに、自分の鼻をゆびさすことから「自」が自分を表すようになりました。本来ほんらいは「鼻」の意味いみで、「」は、「鼻のはたらきのよい犬」、そこからてんじて「においをかぐ」「におい」の意味になりました。

 おなじ意味で、「きゅう」という文字が使つかわれましたが、「臭」が「におい」という名詞めいしになり、「嗅」が「かぐ」という動詞どうしになりました。「嗅」のつくりには「犬」がちゃんとのこっていますね。

(産経国際書会常務理事、山本晴城)