正反対の2つの意味を持つ…「謝」
2020.2.16

「謝」の意味を広辞苑で調べると、「わびる、あやまる」「ことわる」「礼を言う」「別れ去る」などとあります。
「謝」は、「言」と「射」に分解されます。心の声を口から出す意味を表す「言」と、弓矢を放つ際に発する音「射」を合わせてできた文字ですが、偏の「言」は、後に「ことば」としての意味が失われ、「射」音が表す「去」(さる=矢が放たれ去った状態)の意味が残りました。つまり、贈り物をされたときに「辞退する」(ことわる)というのが本来の意味でした。現在では、「お礼をする」意味で使われ、「感謝」「謝礼」などと使います。「謝」は全く反対の意味を合わせ持つ、ちょっと不思議な文字なのです。
(産経国際書会副理事長、髙橋照弘)
