産経国際書会

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月があるのに太陽が…「朝」

 今年ことしはるおとずれが早く、朝起あさおき(はや起き)がらくになりました。そこで、今回こんかいは「朝」を考えました。

 朝の甲骨文こうこつは、くさおおいところ)のあいだ太陽たいよう(日)が出て、まだ月影つきかげが(☽)のこっているかたちで、字全体じぜんたい象形しょうけいで、「早朝そうちょう」の意味いみしめ会意かいい文字もじです。会意とは、「ひと」と「」からできている「きゅう」が、人が木にりかかってやす姿すがたを表すようなものです。

 甲骨文より時代じだいすこくだきん文では、あさつくりの月が、岸辺きしべに流れる水の形()に描かれ、潮の干満の意味を示す字が作られています。

 古代こだい天子てんし大勢おおぜい官僚かんりょうしたがえて、朝夕ちょうせきの礼(朝日をむかえ、夕日ゆうひおく儀式ぎしき)を廟奥(びょうおく、ひさしの深い建物)で行っていました。

 やがて、太陽を迎えると同時に廟まえでは政務せいむおこなわれるようになり、朝政ちょうせい朝廷ちょうていなどの言葉もできました。

 「朝起きは三文さんもんとく」。いまでも農作業のうさぎょうは太陽とともに行われています。

(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)