産経国際書会

「産経国際書会」公式ホームページです。

虎の皮をかぶり座って演技待つ「処」

 前回に続き、「とら」に関連かんれんする文字、「しょ」を取り上げるよ。

 旧字では「處」と書く。金文を見ると、「虎」と、物をせたり、ひじやこしけたりする足つきの台である「」の組み合わせで、虎が几に腰かけている形。この虎、本物ではなく、実は虎の皮を身に着けた人。せん勝をいのって行うげき式)をえんじる前、まず椅子いすに座っているというわけだ。

 そこから、「處」は、「腰かけている人がいる所」の意味になり、そこから「いる所」となり、さらに「おく」「すえる」「あつかう」「きめる」にも使われている。
 今は「處」の一部を取って、「処」になっている。処置しょち、対処、処ぐう、処女作―などがあるね。

 「げき」では「 りっとう」=刀=を、「」では「 ほこ」を持って、それぞれ虎の皮を身に着けた者をつ虎退治たいじ演技の形になっているんだ。ちなみに、おなじみの「とら」さんとは、関係はないんだよね…。

(産経国際書会副理事長 勝田晃拓)