虎の皮をかぶり座って演技待つ「処」
2020.12.20

前回に続き、「虎」に関連する文字、「処」を取り上げるよ。
旧字では「處」と書く。金文を見ると、「虎」と、物を載せたり、ひじや腰を掛けたりする足つきの台である「几」の組み合わせで、虎が几に腰かけている形。この虎、本物ではなく、実は虎の皮を身に着けた人。戦勝を祈って行う劇(儀式)を演じる前、まず椅子に座っているというわけだ。
そこから、「處」は、「腰かけている人がいる所」の意味になり、そこから「いる所」となり、更に「おく」「すえる」「あつかう」「きめる」にも使われている。
今は「處」の一部を取って、「処」になっている。処置、対処、処遇、処女作―などがあるね。
「劇」では「 刂」=刀=を、「戯」では「 戈」を持って、それぞれ虎の皮を身に着けた者を討つ虎退治演技の形になっているんだ。ちなみに、おなじみの「寅」さんとは、関係はないんだよね…。
(産経国際書会副理事長 勝田晃拓)
