産経国際書会

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麻の茎が元の意味…「蒸」

 今年の梅雨つゆ入りはとても早かった。長雨は、特にし暑さがつらいよねー。そこで今回は「じょう」だよ。順を追って説明せつめいするね。

 まずは「じょう」から。左上の金文で見る と、深い穴に落ちた人を左右の手で引き上げてすくう形だね。次に「じょう」は蒸気が立ち上る様子を表しているよ。さらに「蒸」は「艹(くさかんむり)」と音を表す「烝」を合わせた字で、元々は植物の麻のくきを表したんだ。

 麻の茎の皮部分をぎ取って、麻糸にする。その茎のしんを「おがら」といって、束ねて 炬火(たいまつ)や燭(ともしび)に用いたよ。皮を剥ぎ取るのに蒸気を使って蒸すことから、「烝」(熱気ねっきがこもる)と同じ意味の(むす)になったんだ。その後(むし、あつい、おおい)と展開していったよ。蒸暑、蒸し器、アサリの酒蒸し、水蒸気、蒸りゅう…などと使うね。蒸民は多くの人々のこと。

 ところで最近あの人見かけないけど、まさか蒸発しちゃったんじゃない? なんて言い方もあるね(笑)。

(産経国際書会副理事長 勝田晃拓)