木の枝に付けた旗を持つ姿「事」

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 4月は新しい仕事や出会いの季節。慣れない仕事に苦労されている方も多いでしょう。今回は、仕事の「事」を紹介します。
 この字は、木の枝に小旗を付けたもの(20250414_kanji04.png)を手(20250414_kanji03.png)で持っているところを表しています。旗は職種によって所属者がどんな仕事か、ひと目でわかるように区別されていました。
 この旗を定位置に立てて守ることから、公用に服する人のことをさし、やがて仕事全般の意味で使われるようになりました。
さて、楷書では①のように書きますが、長い横画が下方に集中するため、重心が下がったように見えます。楷書の完成期である中国・唐時代の「事」は、1画目が最も長く、重心を上に上げて、逆三角形にしています。
 これを現代の「事」に応用してみると、②のように引き締まった字になります。ちょっとした発想の転換や工夫で、仕事も楽しくなるかも。

(産経国際書会副理事長 町山一祥)

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書・町山一祥